記録 · 研究 / 色 · 2018.02

世界遺産から色を抽出して配色にする

襲色目を手がかりに、世界自然遺産の写真から配色をつくる

自然の色といえば、草木の緑と、空や海の青と、土のベージュ。ファッションで使われる自然の色は、その程度だ。この研究では世界自然遺産の写真から、実在した色だけを取り出して配色にした。

自然の色が、数種類しかない

ファッションで「自然の色」として扱われる色の幅は狭い。草木の緑、空や海の青、大地や土のベージュや茶色。自然にはもっと細かい色があるのに、服に載るときにはこの数種類しか選択されない。

これ以外のより多様な色を、自然物そのものから取り出せないか。抽出した色で配色を組めば、自然の色でありながら、これまで服になっていない配色のファッションが実現できるのではないかと考えた。

襲色目という前例

配色を自分の感覚で決めると、根拠が説明できない。参考にしたのは、平安時代の襲色目だ。

襲色目は、重ねた衣の表と裏の色の組み合わせに名前と季節を割り当てた体系だ。「どの色が綺麗か」を問わず、「どの組み合わせが何を指すか」を先に決めてある。感覚に頼らず規則で配色を扱った前例が、千年前の日本にある。

襲色目の例。重ねた衣の表に現れる色の並びで、名称と着用時期が先に決まっている
Fig. 01 — 襲色目の例。重ねた衣の表に現れる色の並びで、名称と着用時期が先に決まっている

配色を抽出する

方法は単純だ。世界自然遺産の写真を、画像補間で2画素・6画素・18画素まで畳む。残った画素の色をそのまま並べれば、2色・6色・18色の配色になる。遺産1件につき、この3パターンをつくる。

補間にはニアレストネイバー法を使っている。近い画素の色をそのまま持ってくる方式で、平均を取らない。つまり出てくる色は、必ずその風景に実在した色になる。混ぜてつくった色は1つも入らない。ここがこの方法を選んだ理由だ。

写真を18・6・2画素まで畳み、残った画素の色を配色にする。最近傍なので平均を取らず、出てくる色は必ず元の画像に実在する。風景は模式のために描いたもの
Fig. 02 — 写真を18・6・2画素まで畳み、残った画素の色を配色にする。最近傍なので平均を取らず、出てくる色は必ず元の画像に実在する。風景は模式のために描いたもの

段階を3つに分けたのは、粒度が違うからだ。2色まで補間すると強烈な色味のみ残り、18色まで残すと写真のイメージにより近い配色になる。同じ風景から、粗さの違う3つの配色が出る。

服に載せる

つくった配色は、実際にファッションコーディネートへ応用して見てもらっている。多くの場合、普段とは違う「新鮮」という印象が返ってきており、配色としては一定の利用価値を示せただろう。

この研究の課題

本研究は画像から配色を抽出しているため、使う画像によっては同じ遺産でも色味が変わってしまう。実際の色は、時間帯や季節でも変わる。

現地に赴いて、写真の加工を経ない形で実際のカラーコードを抽出できれば、より信頼できる配色がつくれるはずだ。

出典

配色の抽出に使った世界自然遺産の写真は、世界遺産ナビ pamon の自然遺産一覧から取得した(pamon.sekaken.jp/運営: 世界遺産検定事務局・マイナビ出版)。掲載画像の出典は AdobeStock・pixabay・unsplash・iStock。

襲色目の色コードは Ateitexe による。同記事は color-sample.com をもとにした近似値であり、色合いには諸説あると明記している。